非鉄鋳物研究部会
研究部会について
非鉄鋳物研究部会は1986年に「“ものづくり”が盛んな東海地域の会員が集い,お互いに技術情報を積極的に交換し,ネッワークを築き相互の技術力を高めてともに発展すること」を趣旨として発足し,今年で31年となります.アルミニウムを中心としたダイカスト・低圧鋳造・重力鋳造などを対象に,技術の講演・発表会とディスカッション,情報交換会から成る研究部会を年4回開催しています.東海地区以外の有力企業も含め,現在企業会員が38社,大学・公設試・有識者会員が23名で,合計61名の会員を有します.
毎回の研究部会は12名の担当幹事が企画しており,3名の担当幹事が年1回の部会を順番に企画運営を担当し,偏りがなく質の高い研究部会となっています.講演・発表会では,討議時間,発表時間に自由度を持たせ委員間の情報交換が充分はかれるようにプログラム検討されています.講演・討議会の終了後,講演者・発表者を囲むテーブル方式で,情報交換会を開催しており技術情報だけでなく会員相互の交流の場を提供しています.研究部会の会場は,交通に便が良い名古屋駅から徒歩3分に位置するウインクあいちとしています.
共同研究も実施しています.会員からテーマを募り,参加希望者で構成したワーキンググループで研究部会とは別に会合を開き進めています.研究は分担して進め,定期会合で研究結果の報告と討議,進め方の協議を行い,より良い研究成果を目指した活動をしています.現在は「ダイカスト鋳物の残留応力と製品変形の関連調査」に取り組んでおり,将来の鋳物の加工レスや試作レスを実現する基礎研究を行っています.
研究部会への新規加入を歓迎しております.ホームページに開催予定を毎回掲載していますので,研究部会への加入に興味がありましたら,加入検討のためと事務局に事前連絡して申し込んでいただけたら,一度限りにつき参加することができます.なお加入する場合は,研究部会の加入要件がありますので,確認の上研究部会事務局に加入申し込みください.よろしくお願いします.
非鉄鋳物研究部会の加入要件
- 研究部会に参加するには,会社が鋳造工学会の維持会員または委員が正会員であること.
- 研究部会の運営費として年会費2万円を支払うこと.
- 年4回の研究部会に必ず参加していただくこと.
部会に参加し討議に参加することが他の会員への情報提供になります.やむを得ない事情がある場合は,代理人に出席してもらうこと. - 3年に一度程度の情報提供をすること.ただし系統だった技術報告である必要はなく,自社で抱えている課題の紹介等で可です.
研究部会の歴史
1. はじめに
当研究部会は、部会長中村元志氏(豊田中央研究所)・事務局西田義則氏(名古屋工業技術試験所)で発足し、第1回研究部会を1986年6月に名古屋工業技術試験所で開催した。
以来、23年間の活動を続けているが、この間、部会長/事務局は山田銑一氏(豊田中央研究研)/西田義則氏(1990-1993)、粟野洋司氏(豊田中央研究研)/井沢紀久氏(名古屋工業技術研究所)(1993-2002)、加藤鋭次氏(名古屋大学)/初山圭司氏(アイシン高丘)(2002-2008)の各氏に引き継がれ、活発な部会活動が行われてきた。
2008年4月からは岩堀弘昭(豊田中央研究研)/佐々木英人氏(アーレスティ)が担当して、本年6月には第92回研究部会を開催した。
東海地区は自動車生産を中心とした国内最大の“ものづくり”一大拠点である。この10年間を振り返ると、バブル崩壊を克服して、自動車の生産台数は飛躍的な増加を続けてきた。折しも地球環境保護が強く叫ばれ、軽量化のニーズが高まる中で、非鉄鋳物はその有力な手段として注目されている。
2007年にはアルミニウム合金鋳物・ダイカストの生産量は約150万トン/年に達し、その期待は益々大きくなってきている。
2. 1999年から今日まで10年間の研究部会活動
当研究部会は、製造および研究・技術開発に携わる企業・大学・研究機関からの委員38名(現在)で構成され、年4回の部会を開催している。その運営は、部会長・事務局を中心に委託された企画幹事とで方針を作り、委員各位の了解を得て行われてきた。
委員からは2年毎にアンケートを採り、この間に提供可能な話題テーマを登録してもらい、それらの中から、ダイカスト、重力・低圧鋳造あるいは鋳造欠陥対策、新プロセスなど、毎回メインテーマを設定して開催し、報告・討議を行ってきた。そして重要技術テーマには、第一線の研究者・技術者に基調講演を依頼して、基本現象の理解と実用技術を組み合わせた講演プログラムを作り、より有益な技術情報の提供と活発な議論がなされるように心がけてきた。
図1に、1999年6月の第52回研究部会から2009年6月の第92回研究部会まで計41回の部会における年度毎の発表件数と参加者の推移を示す。1回の部会で4~5件の報告があり、この10年間では184件(基調講演7件、招待講演10件、委員講演167件)の報告が行われた。
講演の内訳は、ダイカストに関するものが全体の約65%と多く、重力・低圧鋳造関係が約30%、その他新材料、新プロセスに関する報告が5%であった。この比率はダイカストと鋳物の生産比率にほぼ対応しており、委員が在籍する会社の鋳造技術とそこでの課題が多いことを反映したものと思われる。また部会出席者もダイカストがテーマのときには増加する傾向にあった。
ちなみにこの10年間の部会出席者の総数は1931名で、この内約30%は委員以外の一般聴講者であった。これは当研究部会が、発足当初から登録委員以外の参加を認めて、事前アナウンスの開催案内プログラムを見ての参加申し込みを可とし、多くの技術者への情報提供を心がけてきた結果である。なお、部会開催は、長く使わせていただいた名古屋工業技術研究所が2000年に移転となり、その後は名古屋中小企業振興会館に会場を移して行ってきた。
研究部会では、定例部会報告に加えて課題テーマを設定して共同研究を実施し、その成果を研究報告書にまとめて適時発行してきた。当該期間においても下記の2報(写真2にそれらの表紙を示す)を発行した。
写真1 最近の研究部会での講演風景
(1)鋳造圧力変化によるダイカスト鋳物の密度(2000年9月発行)
この報告は、粟野部会長、加藤ワーキングリーダのもとに6社の委員が参加した調査結果である。ダイカストの鋳造圧力は鋳物品質を左右する重要因子であることから、参加委員各社が実部品ダイカストの鋳造圧力を変化させて射出して、その品質調査から鋳造圧力の最適化の指針を明らかにしたものである。
(2)非鉄鋳物研究部会報告-アルミニウム合金鋳物の鋳造品質向上-(2009年6月発行)
この報告は、加藤部会長が推進した2002年4月から2008年3月までの24回の研究部会で報告された106件の中から、第1章 ダイカスト(38件)、第2章 重力・低圧鋳造(11件)、第3章 半凝固(6件)、の高品質化に取組んだ主な技術55件がまとめられている。
また研究部会は支部が主催する行事(地域講演会)にも積極的に協力してきた。毎年その年度の部会報告の中から広く会員諸氏に役立つ技術情報として提供できるテーマを1件選び、担当委員に報告していただいた。これらの中で特に優れた技術は鋳造工学会本部表彰にも支部から推薦され、技術賞を授与されている。最近の表彰技術には以下のものがある。
*Water Free離型剤を適用したダイカスト鋳造量産技術の確立(寿金属殿)2008年技術賞
*地球環境にやさしいダイカスト加工技術の開発(デンソー殿)2008年技術
写真2 この10年間で非鉄鋳物研究部会が発行した報告書
また東海若手鋳造エンジニア懇話会(YFE)が自らの知識・技術向上を目指して企画した鋳物基礎講座開設にも協力してきた。講座は、中村元志氏を中心に、粟野洋司氏、加藤鋭次氏、三輪謙治氏、西田義則氏、岩堀弘昭らが講師となり、重要な基本技術で構成した写真3に示す内容の2冊のテキストを作成し、2003年度と2004年度に実施した。
なお、この講座は鋳鉄鋳物講座とともに、支部会員に対する教育基礎講座としての位置づけを明確にして、2005年度からは支部に新設された教育部会(恒川部会長)により推進されている。
非鉄鋳物研究部会の運営組織
部会長 | 青山 俊三 | [株式会社アーレスティ] |
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代表幹事 | 岩堀 弘昭 | [公益財団法人科学技術交流財団] |
事務局兼会計 | 小林 光浩 | [トヨタ自動車株式会社] |
幹事 | 井澤 龍介 | [リョービ株式会社] |
岩田 靖 | [株式会社豊田中央研究所] | |
上坂 直人 | [株式会社デンソー] | |
大城 直人 | [株式会社大紀アルミニウム工業所] | |
金澤 賢一 | [株式会社Anothworker] | |
小林 哲 | [日軽エムシーアルミ株式会社] | |
小林 竜之 | [アイシン精機株式会社] | |
佐々木 英人 | [美濃工業株式会社] | |
水谷 予志生 | [岐阜県工業技術研究所] | |
森中 真行 | [アイシンエィダブリュ株式会社] | |
顧問 | 三輪 謙治 | [元産業技術総合研究所] |
今後の研究部会の予定
第126回 |
2017年12月1日 |
第127回 |
2018年3月2日 |
第128回 |
2018年6月4日 |
第129回 |
2018年9月7日 |
第130回 |
2018年12月7日 |
第131回 |
2019年3月1日 |
最近の非鉄鋳物研究部会発行の研究報告
報告その1:アルミニウム合金ダイカスト |
2015年3月6日発行 |
報告その2:アルミニウム合金 |
2015年12月4日発行 |
研究部会役員
部会長 | 青山 俊三 |
幹 事 | 小林 光浩 |
連絡先
トヨタ自動車(株) 鋳造生技部 開発室
小林 光浩
Tel: 0565-23-7839, Fax: 0565-23-5927