2025年4月 4年目のご挨拶
(公社)日本鋳造工学会東海支部
支部長 前田 安郭
日本鋳造工学会の東海支部長に就任しまして3年間を経過し、今年は最終の4年目になります。3年間を振り返りつつ、2025年度の活動方針を述べます。
2024年度の東海支部活動は、「4つのシンカ」+「繋がる」をビジョンに掲げ活動してきました。4つのシンカは、
1) 鋳造工学会として極めるべき基本的な従来の技術研究は、更に深く探求する「深化」、
2) 未だ暗黙知の多い鋳物の世界を解明するため、現状の環境変化に対応した新しい技術も積極的に取り組む「新化」、
3) 鋳造技術を未来へ向けて継承、もっと良い商品、サービス、労働環境へと推し進める「進化」
4) モノづくりは仲間同士が協力し合って実現できるもの「親化」
です。これは村井前支部長のときから継続してるものです。そして2024年は『技術』と『人材』が「繋がる」ための活動を行ってきました。
過日、鋳造業界を元気にするために何が必要か?をスタッフで考えました。そして、2つの軸、1つは人材育成、もう1つは鋳造技術、の2軸が必要であることが理解しました。この2つを、仲間同士で、企業間で、産学官で、子どもから大学生へ、大学生から企業人へ、新人社員からベテラン社員へと繋げていく必要があると認識しました。
どうやって。幸いにして我々にはデジタル技術があります。今はデジタル社会に変わったと言っても過言ではないでしょう。手書きをする機会はめっきり減りましたし、紙の切符も見かけなくなりました。年賀状などの郵便物も減って、正にデジタル&ネット時代です。デジタル技術を活用すれば、『技術』と『人材』を繋げていくことができるでしょう。
この我々が東海支部が取り組んできた活動ビジョンは、2025年5月の第185回全国講演大会で全国展開されます。
今回の全国大会のスローガンは、『つながる力で拓く(ひらく) 鋳造の未来 名古屋』です。
全国講演大会開催のご案内
技術を繋げる、人材を繋げるためにいくつかのイベントが開催されます。
1)講演大会:講演大会における発表件数は、140件弱と、近年になく多くなりました。
2)技術講習会:技術講習会は、「技術が繋がる」ために、「鋳物をかえる次世代プロセス」をテーマとして開催されます。
3)つながる展:講演大会の併設イベントして、『つながる展』が開催されます。人材を、技術を、つながるをキーワードに、約70社の企業が参加、また大学・高専・公設研究機関のポスター展示や、いくつかの鋳物サンプル展示などが開催されます。近々の課題であるSDG’sやカーボンニュートラル関係の専用ブース、実演コーナーも用意する予定にしています。
4)工場見学会:会社同士が繋がる代表的なものに「工場見学会」もあり、5コースで実施されます。
5)いもの体験教室:従来の子ども向けだけではなく、今回は小中学生向け、高校生向け、そして一般の方向けの鋳物体験教室を同時開催します。
6)YFE大会/学生鋳物コンテスト:講演大会の中にYFEセッションとしてですが、大学生、高専生による学生鋳物コンテストの発表会があります。
7)特別講演会:みんなで「つながる」を考えてほしくて、『将来を支える人材に、どのようにしてイモノの魅力を伝え育てるのか ~鋳造人材育成の課題と日本鋳造工学会が果たす役割~』をテーマに、特別講演会を設定しました。元日本鋳造工学会会長の清水先生には、出前授業をはじめ体験教室の大切さを、私からは鋳造CAEシミュレーションや人工知能、機械学習などのデジタル技術の活用と大学と企業との共同研究について、トヨタ自動車の須田様には企業と学生を繋ぐインターンシップの実例と効果などを紹介して頂き、会場全体で「鋳造人材の繋がる」について意見交換したいと考えています。
以上のように少しずつ「繋がる」が実行されつつあると感じています。一方で、いま実施しているこれら内容やイベントは1回限りでは意味がありません。未来に向かって繋がることが重要です。デジタルの世界で言うところの4次元、X、Y、Zの空間だけではなく、時間軸を加味した4次元空間で、つがっていくことが重要だと考えています。2025年もこの考えのもと誠心誠意精進していきます。理事の皆様、幹事の皆様、会員の皆様のご協力あってです。よろしくお願いいたします。
以上
2024年度のご挨拶(前田支部長)
2023年度のご挨拶(前田支部長)
2022年度のご挨拶(前田支部長)
2021年度のご挨拶(村井支部長)