2023年4月 2年目のご挨拶
(公社)日本鋳造工学会 東海支部
支部長 前田 安郭
日本鋳造工学会の東海支部長に就任して1年が経過しました。少し2022年度を振り返ってみたいと思います。
2022年度においては、東海支部が提唱する3つにシンカ
1) 鋳造工学会として極めるべき基本的な従来の技術研究は、更に深く探求する「深化」とともに、
2) 未だ暗黙知の多い鋳物の世界を解明するため、現状の環境変化に対応した新しい技術も積極的に取り組む「新化」、
3) 鋳造技術を未来へ向けて継承、もっと良い商品、サービス、労働環境へと推し進める「進化」
に加えて、
(4) モノづくりは仲間同士が協力し合って実現できるもの「親化」
の4つのシンカをビジョンに掲げ、コロナ禍ではあるものの、できるだけ対面活動を増やしつつ活動してきました。学会活動の主流である研究活動に関しては、「鋳鉄鋳物研究部会」、「非鉄鋳物研究部会」、「鋳造先端プロセス研究部会」の3つの研究部会を通じて、また鋳造分野の特徴である産学官連携に関しては、「YFE懇話会」や、「なぜなぜ研究会」などを通じて、さらに「鋳造技術対談」や、「理系学生応援プロジェクト」などの人材育成事業を展開してきました。これら多くの事業報告を4月14日開催の東海支部総会において行いました。無事に多くの事業を遂行できたことは、企画から尽力頂いた役員の方々、世話役の委員の皆様、研究部会長や講師の皆様、そして参加して頂いた皆様の協力あってのことと深く感謝致します。「親化」の一端ではないでしょうか。
そして、忘れてはいけないのが、2020年に開催できず延期していた全国講演大会を、村井茂実行委員長指揮の元、第179回全国講演大会として大同大学で無事に開催できました。リアルの展示会は開催できずオンライン展示会に変わりましたが、多くの入場者に恵まれました。運営に携わった皆様、真にありがとうございました。なお、好評を頂いたオンライン展示会の一部コンテンツは広報活動の一環として、現在の東海支部HPに継続展示しています。是非、有効活用して頂ければと存じます。
次に、本年2023年度の活動に関してです。やっとコロナ対策も収束に向かいつつあります。マスク着用義務や、密集禁止などの緩和が進みつつあり、ゴールデンウィーク明けには、コロナウイルスの感染症法上の分類が2類から5類への変更も予定されています。やっと対面での活動ができそうで嬉しい限りです。一方で、約3年間のコロナ禍で培ったオンライン、ハイブリッド開催の事業展開などにも良いところありました。よって本年度は、ハイブリッド開催の有効性を活かしつつ、できるだけ対面で事業展開を行い、4番目の「親化
」を推し進めていきたいと考えています。人材あっての鋳物業界、皆様のご協力あっての東海支部だと考えていますので、よろしくお願いします。
具体的な活動指針としては、従来からの課題である
○ SDG’sにかかる環境問題から注目されている、CF(カーボンフリー)あるいはCN(カーボンニュートラル)の推進、
○ ビッグデータやIoTで表現されるデジタル及びネットワーク技術の取り込み
○ 少子高齢化が進む中ので、ものづくり人材の育成
が重要になってくると思われます。
日本の基幹産業である鋳造技術を維持し、将来へ継承するためには,鋳物の高品質化・高付加価値化を実現する確固たる技術の継承と、新たな開発がますます重要になってくるでしょう。とくに、3つめの人材の活用が重要と考えており、若手鋳造技術者の育成、学生への業界紹介などを中心に活動していきたいと考えています。
東海支部の皆様とともに、目標に向かってまい進していきますので、引き続き、よろしくお願いします。
以上