2024年4月 2期(3年目)目のご挨拶
(公社)日本鋳造工学会
東海支部
支部長 前田 安郭
日本鋳造工学会の東海支部長に就任して、1期2年間が経過し、2024年度から2期目に突入します。まず少し2023年度を振り返りつつ、2024年度の活動ビジョンを説明します。
2022年~2023年度の東海支部活動は、「4つのシンカ」を活動ビジョンとして活動してきました。
- 鋳造工学会として極めるべき基本的な従来の技術研究は、更に深く探求する「深化」とともに、
- 未だ暗黙知の多い鋳物の世界を解明するため、現状の環境変化に対応した新しい技術も積極的に取り組む「新化」、
- 鋳造技術を未来へ向けて継承、もっと良い商品、サービス、労働環境へと推し進める「進化」
- モノづくりは仲間同士が協力し合って実現できるもの「親化」
昨年の2023年に新型コロナウイルス感染症は2種から5種への変更となり、「コロナあけ」ということで、いくつかの事業を対面で実施することができました。技術講演会、技術講習会、鋳造技士会との交流、学生との交流、鋳鉄、アルミニウム鋳物の基礎講座、研究部会活動と、対面で開催することができ、面着ならではの効果があったと思います。4つめの「親化」、仲間同士の交流を深める機会を作れたのではないかと考えます。またイベントの多くは利便性も考慮して、ハイブリッド開催でした。ハイブリッド開催は主催者および実施担当者の準備から実施までの業務が非常に多くなりますが、対面およびオンラインの双方で多くの方に参加頂きありがとうございます。その成果の一部は、4月12日開始の総会に続いて、成果報告会として紹介させて頂きました。各イベントに参加頂きました皆様、イベントを計画から実施および報告まで支えて頂きました理事、幹事、事務局の方々に感謝します。
さて、これまでの「4つのシンカ」に加えて、本年度2024年度は、もう一歩進歩したいと考えます。図に示すとおり「繋がる」を追加します。少し背景を説明します。
ご存じかもしれませんが、2025年5月には第185回全国講演大会の担当が東海支部です。種々検討の結果、開催場所として、当校、大同大学に決めました。全国講演大会を、どんな内容、どんなテーマでするのかについて、統括リーダーの方々を早々に指名して検討を進めてきました。全国講演大会の実施形態を検討し、鋳造工学会のHP構成をなどを精査したところ、その結果として、
・従来のイベントは個々に実施されており、イベントに繋がりが薄い ことがわかりました。
・また第3期ビジョンや、学会活動ビジョン4つのシンカを遂行するためには、これらを繋げる必要があると判断しました。
また、統括リーダー会議で「鋳造を元気にするために」を思案したところ、曼荼羅チャートを利用したのですが、意見は大きく2つに整頓することができました。「人材育成」と「技術」です。
「技術」に関しては、図に示すように技術講習会や講演会などを通じて従来より実施しています。今後も「親化」「新化」「進化」させていきたいと思います。一方で、もう一つの「人材育成」ですが、こども鋳物教室、学生と若手技術者との交流といったイベントは行っているものの、個々に実施されており、全然つながっていないと思いました。全国の各支部間での繋がりもほぼないですし、こども鋳物教室に参加した小学生は、工学部に進学したでしょうか。大学で鋳造を教えているところは何校ありますか。鋳造業界に就職する学生は? 業界の情報を知る機会はあるのでしょうか。繋がりが非常に乏しいと考えました。日本鋳造工学会の会員数も減少する中で、「人材育成」は非常に重要なキーワードにあります。ここに実施されているイベントを繋げ、広く展開していかなければ、鋳造に従事する人材確保も難しいと考えさせられました。幸いにして現在はデジタルの時代です。そこでデジタルツールを駆使して繋げていこうではないかと考えました。
『鋳造が未来へつながる 人と地球にやさしい ヒトづくり、モノづくり』を掲げ、デジタルを活用して、
・人材育成軸: 人と情報、人と人、情報と情報を繋げる
・技術軸: 中長期視点、旬の新技術、情報の過不足
を中心に展開していくことにしたいと考えています。
いきなり完成形にはなりません。これから情報を集めつつ、少しずつ構築して、公開できることろ展開していきたいと思います。さっそく2024年度の東海支部活動から開始し、2025年5月の全国講演大会への展開したいと考えます。全国講演大会では、リアルとオンラインのハイブリッドで「繋がる」をテーマに開始したいと考えています。
2024年度は、従来の東海支部活動に加え、2025年5月の第185回全国講演大会に向けてまい進していきます。引き続き、ご支援、ご協力をお願いいたします。
以上